『即興漫才おもろない』


猪狩「異様に暇だから漫才でもするか」

神奈川「ネタでもあるのか?」

猪「微塵もない」

神「・・・断る」

猪「じゃあこうしよう。俺が頑張って即興で抱腹絶倒のボケをかますからお前はただいつも通りにつっこむだけで良い、簡単だろ?」

神「どこからその自信が湧き出てくるのかが気になるな、精神医学の観点から」

猪「で、どっちなんだ?やるのか?やらないのか?」

神「・・・まあいいか。なんだかんだで暇だし」

猪「早速始めるか。じゃあ始めに「最近どうですか?」みたいな事を振ってくれ」

神「わかった」



神「どうもー」

猪「どうもー」

神「神奈川でーす」

猪「猪狩でーす」

神「二人合わせて」

神「漂流民ブラザーズでーす」猪「焼きそば流しにばら撒き隊でーす」

神「ところで猪狩さん、最近どうですか?」

猪「いやー最近身体の調子が悪くてねー」

神「ほう」

猪「特に腰が顎関節症でねー、動かしたらギギギってなって痛いの何の」

神「・・・」

猪「なんだよ、今いいとこじゃねえか。俺ちゃんとすげー面白いボケかましたぞ。ちゃんとつっこめよ」

神「・・・それはぎっくり腰だろ!ってつっこめばいいのか?」

猪「そうだ」

神「・・・お前が思ってるほど面白くねーぞ」

猪「・・・そうか」



猪「それでだ」

神「うん」

猪「スベりまくったまま帰る訳にはいかないのだ」

神「最初から俺ら二人しかいないが」

猪「打開策を考えねばならん」

神「あるのか?」

猪「微塵も無い」

神「・・・」

猪「はいじゃあ手品しまーす」

神「暴走し始めたぞ」

猪「よーく見ててください耳が〜・・・」

神「パクリじゃねえかよ」

猪「ちっちゃくなっちゃった!」

神「うわ!ほんとにちっちゃくなった!」

猪「まあ嘘だけどねー」

神「え・・・」

猪「さて、どうすればこの空気を解消できたもんかなー」

神「いや、耳・・・」

猪「もうどうしようもないのかなぁ」

神「耳・・・・」

猪「お前さっきからうっさいぞ!耳って何のことだよ?」

神「いや、お前、ミミ、おかしい、チイサイ、常人より」

猪「なんで片言になるんだよ」

神「うーん・・・」

猪「別におかしいとこなんか無いぞ」

神「・・・なんだかそんな気がしてきた」

猪「だろ、全て気のせい」

神「そうか・・・」

猪「わかってくれたか」

神「なんとなく腑に落ちない気もするが、納得した」

猪「さて、パーツ取り替えなきゃ」

神「耳が着脱式だと・・・ッ!?」

猪「あれ、言ってなかったっけ?俺なんかサイボーグにされたんだよ」

神「何故なんだろう・・・・」

猪「戦争の際最終兵器として活躍する予定らしい」

神「そんなもん北海道の女子高生に任せとけよ、彼氏との感動のストーリーが生まれるはずだ」

猪「ちなみに機能はこの耳取り外しだけだ」

神「まるで最終兵器じゃねーよ」

猪「あ、自衛隊から呼び出しだ」

神「このご時世にポケベルかよ」

猪「アフリカの子供にこの耳を配るらしい、甘くて美味しいそうだ」

神「・・・貴様の身体の中にはつぶあんが詰まってるのか」

猪「いや、こしあん

神「・・・・・」

猪「・・・・・」

神「・・・もう疲れたし、漫才止めるか」

猪「そうだな、俺もそろそろ飛び立たなけりゃならん」

神「それじゃあ、どうもありがとうございましたー」

猪「ありがとうございましたー」






神「・・・で、これが何なのさ」

猪「いや、だから漫才の台本。今度文化祭でやるやつ」

神「これやるのか?」

猪「ああ、面白いだろ?ところどころに笑いのエッセンスがちりばめられてるし、絶対に他の奴には真似の出来ない個性的な漫才に仕上がってると思うぜ」

神「・・・ホントはこのフレーズは言いたくないのだが」

猪「うん」

神「・・・お前が思ってるほど面白くねーぞ」

猪「・・・そうか」