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『滅亡イズム最後の継承者』
猪狩「・・・今まで隠していたんだが、お前にいわなきゃいけないことがある」
神奈川「いきなりシリアスに言われても困るのだが・・・」
猪「実は俺さ・・・」
神「・・・」
猪「滅亡イズムの継承者なんだよ、しかもおそらく最後の」
神「・・・は?」
猪「いや、だから滅亡イズム。ありとあらゆる観点から世界の滅亡の可能性を考察し、それを未然に阻止する人物を滅亡者と呼び、その考え方を滅亡イズムというのさ」
神「・・・」
猪「・・・お前信じてないだろ?」
神「当たり前だ」
猪「フッ・・・破滅への輪舞曲は意外とそこら辺に転がってるもんなんだぜ」
神「いつものことながら想像を絶する意味のわからなさだ、破滅への輪舞曲って違うし」
猪「この世界はな、例えば『バルス!』と大声で叫んだだけで崩れる欠陥住宅のような、危うい世界なのだ」
神「お前の頭が危ういわ」
猪「うるさいな、お前はもし明日世界が滅びるとしても淡々とサイゼリヤのミラノ風ドリア(¥290)を食べ続けることが出来るのか!?」
神「・・・・」
猪「出来ないだろ?つまりはそういうことだ」
神「・・・どういうことなんだよ、つか意味わかんねえし」
猪「・・・じゃあ説明するよ、どうやって世界が滅びるか」
神「・・・まあどうせすることないし、いいか」
猪「滅亡者にも聖書みたいなものがあってな、そこには幾多の資料が書かれてる。検証の最初に参考にしたのがそれだ」
神「へぇ」
猪「こういう検証はよく知られた所からアプローチするのが定石だ。俺はその聖書の中のある一つの記述を元にシミュレーションを始めた」
神「どんなことが書いてあったんだ?」
猪「『空から恐怖の大王が降ってくる』って奴さ」
神「・・・」
猪「コレなら『恐怖の大王』が何なのかわかれば全て解明するだろ?」
神「・・・で、その恐怖の大王は何だと思うわけ?」
猪「フ・・・何だと思う?」
神「・・・・隕石とか?」
猪「違うな」
神「じゃあ何だよ」
猪「ロボットさ」
神「はぁ」
猪「空からロボットが降ってくる、それが恐怖の大王だ」
神「何で空からロボットが降ってくんだよ、ありえねえ」
猪「昔、工事業者の怠慢が原因で王宮が崩壊し、それが原因で滅びた古代文明があってな、その名残さ」
神「・・・どれだけ適当な工事をしたんだか」
猪「まあとにかく、それが恐怖の大王なんだよ」
神「・・・具体的にはどうやって滅びるんだ?」
猪「花を植えまくる」
神「・・・」
猪「おびただしい量のロボットが、人間の理解の範疇を超えた規模の花植え作戦を実行し、井の頭公園、首相官邸、グリニッジ天文台、リンゴスターなどの世界中のありとあらゆる場所を花で埋め尽くす」
神「・・・今何か人が混じってた気がする」
猪「そして止めようとしたものは全て頭にセイタカアワダチソウを植え付けられ死ぬ」
神「それは何か地味に怖いな」
猪「どうだ、こんな感じだ」
神「でも、花を植えられただけで人が死ぬとは思えないが」
猪「最終的に全員花粉症で死ぬ予定さ」
神「・・・・ジェノサイドが斬新すぎる」
神「でだ」
猪「うん」
神「結局いつ滅びる予定なの?」
猪「まあ落ち着け。今までの話を全て総合すると、つまり人類は・・・」
神「・・・」
猪「1999年8月に滅亡するってことなんだよ!!!!!」
神「・・・・・」
猪「・・・・・」
神「・・・・・」
猪「・・・お前、このセリフを聞いたら「な、なんだってーー!!?」と答えなければならないというのはこの滅亡者の聖書にも暗に示されていることだぞ、ちゃんと言えよ」
神「・・・恐怖の大王あたりから薄々感づいてはいたが、やはりお前は重大な事を見落としている」
猪「何をだ」
神「・・・今は2005年で、世紀末ブームはとっくにすぎてる」
猪「・・・・」
神「・・・・」
猪「・・・な、なんだってー」
神「お前バカだろ」