『ひきこもり博物館』


猪狩「俺の夢はひきこもり博物館を設立することだ」

神奈川「はぁ」

猪「大衆にもっとよくひきこもりを知っていただきたい、そうすればひきこもりは大衆からの同情を買うことが出来、それはおそらくひきこもりの社会的地位の向上に繋がるはず」

神「失笑しか買わないと思うが」

猪「本格的に始動する前に下調べをするのだが、協力してくれないか?」

神「何で俺が」

猪「お前ひきこもりだろ、そうだよな自室漂流民」

神「・・・認めたくないが、まあ確かに」

猪「さしあたってひきこもりの部屋の様子を知りたい」

神「ここが俺の部屋な訳だが」

猪「・・・いたって普通だな」

神「ひきこもり全員が大人のゲームの特大宣伝ポスター部屋に貼ってる訳はないと思うが」

猪「ただ一つ特大のマーライオンの置物が目を引くばかりだ」

神「・・・お前が買ってきた奴だぞ、シンガポールに行ったとかで」

猪「こんなものお土産やで売ってるかよ」

神「じゃあどこから持ってきたんだ」

猪「有名な水吹いてる奴のすぐ近くにもう一個あんのよ、それを持ってきた」

神「・・・・今すぐ返して来い、シンガポール政府に」

猪「・・・外に出たくない」

神「・・・ひきこもりが」




猪「博物館といえば珍しい物を集めているところというのがイメージとしてあるよな」

神「確かに」

猪「珍しいひきこもりってどんなんだろうな?」

神「知るか、ひきこもりなんて全部一緒だろ」

猪「例えば、勝手に部屋から出られないひきこもり」

神「それはひきこもりじゃなくて犯罪人だ」

猪「狭い箱の中に入れられて土に埋められて出られないひきこもり」

神「ひきこもり以前に死んでるし」

猪「たまにTVからでてくるひきこもり」

神「見たら死ぬし」

猪「ひきこもり イン ザ バッグ」

神「エスパー伊東

猪「電車で親父に絡まれてた女を助けるひきこもり」

神「突っ込みを入れるのすら面倒だ、しかもそれひきこもりじゃなくてヲタクだし」

猪「・・・外出する時いっつも雨にあう雨男なひきこもり」

神「傘させよ」

猪「いや、水にぬれると足が魚の尾ひれみたいになるから無理」

神「最早人間じゃねーし、海に帰れよ」

猪「いや、頭はライオン」

神「・・・シンガポールに帰れ」




神「ところでさ」

猪「うん」

神「いつから本格的に始動するんだ?」

猪「よく考えたのだが、やっぱやめた」

神「何で?」

猪「・・・外に出たくない」

神「・・・ひきこもりが」